月とむら雲

自分を害する者がいても寛大に赦してやること。自分が相手の立場ならもっと
こっぴどくやっつけるだろうなどと空想すれば、相手の力不足がかえって憐れに
見えてくる。こちらは平気なのに、相手は自らまねいて手ひどい傷を負っている
のだ。むら雲が月の光をさえぎろうとして果たせないと、月はそんな非力なむら
雲のことを憐れに思うことだろう。
大空を照り行く月し清ければ
くもかくせども光り消なくに
敬 信尼

狭くとも住居は足りぬ広くせよ
おのが心を天土のごと

武士道的一日一言
新渡戸 稲造 著